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料理の本棚

丸元淑生(マルモト ヨシオ)

私の料理に対する考え方に多大な影響をもたらした人です。
1996/09/30、改訂: 2002/01/23
いろいろ事情から、私は料理を毎日作らざるを得ない状況に陥った。趣味での料理という位置づけでなく毎日の生活維持、子供達の育成、健康管理上必要不可欠のことであり、特に家庭生活の中で最大のプライオリティをもった緊急課題であった。正直いって楽しむというレベルではなかった。 当時、食事を確保してゆく方法に関してはいろいろな方法が考えられたが、結局自分で作る方法が消去法で残った。

さて、そうなるとまず時間がない。会社を定時で切り上げられたとしても残る時間はごくわずか。当然最短時間で最大効率を追い求めなくてはならない。その場合、見よう見まねでの料理方法マスターではとてもかなわないので、なんらかの原理原則を先にマスターせねばならない、という考えであった。

料理の世界に日頃仕事でやりつけている方法論を持ち込むのである。となるとまずは基本をマスターせざるを得ない。料理人の世界であれば、現場でのOJT(On the Job Training)があり、基本ならびに原理を肌でマスター&蓄積できるのだが、家庭料理となるとそれは母、祖母からの伝授という方法あるいは料理学校という非常に狭い選択肢しか残されていない。実家から遠く離れた我々ならびに時間が限定されている私にとってはそのいずれも選択肢にはない。残された方法は本しかない、ということである。

通常のレシピ本は私はまったく気に入らなかった。「料理の基本とは何か」「料理のシステム化には何が必要か」という私の問いに答えてくれるものではないからだ。そんな問題意識をもちつつ、まとまった時間が確保できる休日には料理関係コーナーで立ち読みしながら本を漁った。丸元さんの本に初めて出会ったのは確か1990年12月頃であったと思う。その本は下記リストNo2の「新・家庭料理」であった。本を探し出す嗅覚は自分にはあると考えているが、この本の目次を見た瞬間「大当たり」と感じた。レイアウトや写真の美しさ、なによりもポリシーが的確に表現されている見出し。これら諸々の事が私の感覚に瞬時にマッチした。丸元さんのグラフィカルな本はその後、No14,16にある「シンプル料理」なども出てきており、写真の美しさは同等あるいは「シンプル料理」の方が上かもしれないが、トータルバランスでは「新・家庭料理」がベストだと思う。

現在下記リストにあるように丸元さんが出されている本で私が所有している本は18冊あるのだが、その中でベストと思われる本に最初に出会ったことは幸運であった。この本のトップ(p.4〜5)に「毎日の食事は、なによりもまずおいしくなくてはならない。一つ一つの材料がおいしく料理されたとき、そして栄養的な条件が満たされたとき、家族が一つになったなごやかな食事になる」という見出しで始まる丸元さんの料理に対するポリシーがエッセンスとなって表現されている。この文を見た瞬間、「世の中すごい人がいるものだ」と思いつつ、家に帰って全てを読んでさらに深く思った。翌日からの行動は彼の本をたよりに基本の調味料や道具の探索・取り寄せ・評価、ならびに彼のレシピの再現が中心となった。「新・家庭料理」ならびに「続・新家庭料理」に掲載されているレシピの90%以上は実際に作成してみた。作成してみて痛感するのは基本を抑えて置けば、味は通常レベル以上のものが簡単に確保できるということが体験できた。

基本あるいはツボを抑えておけば、出来上がった料理の味は保証されるのである。レシピにおける分量は各自の好みで可変すればよいのであり、その味に見合う調味料を予め十分に吟味しておけばよいのである。

ある程度レシピ群を実際にトレースしながら他の本も書店で検索をかけて取り寄せ注文して丸元さんの本を読み合わせて彼の思想全体を吸収したのが約半年であろうか。この間の各種道具類への投資、調味料などの取り寄せ、評価には結構費用がかかったが、確立した後は再考する余地がほとんどない分、逆にコストメリットを得ていると思う。

個々の本の書評をする柄ではないので、より詳細な紹介はしない。各自自分の目で本を手にとって見てもらうのが一番だと考える。彼のいわんとすることは、

毎日の食事は、なによりもまずおいしくなくてはならない。一つ一つの材料がおいしく料理されたとき、そして栄養的な条件が満たされたとき、家族が一つになったなごやかな食事になる (文献No2 P.4より引用)
料理に長い時間を割かなくても、すべての必須栄養素が過不足なくとれるシステムと方法 (文献No9 P.4より引用)
という二つの見出しに凝縮されている。

また丸元さんは現代栄養学についての権威でもある。No.4とNo.12の「図解豊かさの栄養学」も通常の栄養学とは違った独特の観点から切り込まれて述べられるいる。特に蛋白質・炭水化物・脂肪だけの観点ではなく、必須栄養素がいかに重要な働きをしているかについて分かりやすく解説している。全部を理解する必要はないしまた理解するのは大変だが、要は栄養素の働きを漠然と理解するだけでも料理への知識ならびに取り組み姿勢が変わってくるのではないだろうか。

私は1988年に仕事で初めて渡米した際、ビタミンのサプリメントが大体的に販売されていて、小さな町でもビタミンを扱っている店があることに非常に興味を覚えたことがあった。当時はそのままで終わってしまったが、今にして思うと、アメリカでのブームを見据えてすでにこの本で取り上げていたということになる。すでに栄養素の重要性は1982年発行の「丸元淑生のシステム料理学」(文献No.1)にてもその一部が述べられているが、栄養学に焦点を絞った本はこの2冊である。文庫という手軽さもあり一読に値する。

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丸元淑生さんの本達



私が所有している丸元さんの本達
(2003/07/30メモ: amazon.co.jpで検索ボタンは直接Amazonにジャンプします。
なおこのボタンがない本は現在、在庫がない状態です。多分今後も入手は困難と考えられます。
特に私のお勧めのNo.2 新・家庭料理はいろいろなところを探してみましたがありませんでした。
もし見つけた方は菅原mail addressまでメール下さい。
No.9 続・新家庭料理はまだ在庫があるようです。
いい本がどんどん入手不能になるのはとても残念です。
No著者 主題 副題 発行社 種類 発行年月日 価格
1丸元淑生
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丸元淑生のシステム料理学 男と女のクッキング8章 文藝春秋 文春文庫 1982/6/25 360
2丸元淑生新・家庭料理 家族をヘルシーにする 中央公論社 暮しの設計170 1986/6/1 1,960
3丸元淑生おいしく治そう 栄養療法の権威が答える健康ハンドブック 文藝春秋    1986/10/5 1,000
4丸元淑生
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図解豊かさの栄養学   新潮社 新潮文庫 1986/12/20 440
5丸元淑生
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いま、家庭料理をとりもどすには   中央公論社 中公文庫 1987/2/10 390
6丸元淑生
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丸元淑生のクック・ブック 完全版 文藝春秋   1987/9/15 1,339
7丸元淑生
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丸元淑生のスーパーヘルス 老化を遅らせる食べ物と食事法 新潮社 新潮文庫 1988/11/10 320
8丸元淑生
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悪い食事とよい食事   新潮社 新潮文庫 1988/11/25 320
9丸元淑生
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続・新家庭料理 ヘルシー・クッキング12章 中央公論社 暮しの設計192 1989/10/1 1,960
10丸元淑生 男と女の基本料理100   読売新聞社   1990/2/12 1,200
11丸元淑生
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システム自炊法 シングル・ライフの健康は、こう守る 中央公論社 中公文庫 1990/5/10 340
12丸元淑生・丸元康生
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図解豊かさの栄養学2 健康の鍵・脂肪は正しくとろう 新潮社 新潮文庫 1991/1/25 560
13 丸元淑生 三十歳からの食事学 不健康長寿をなくす 廣済堂出版   1991/4/15 1,300
14丸元淑生 丸元淑生のシンプル料理 最新栄養学に基づいた健康人のクッキング 講談社   1993/2/20 2,000
15Earl Mindell著・丸元淑生訳 改訂新版VitaminBible   小学館   1993/4/20 1,300
16丸元淑生 丸元淑生のシンプル料理2 さらに進化した健康メニュー&レシピ集 講談社   1995/10/4 2,000
17丸元淑生
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キッチンバイブル 料理革命を起こす「台所の道具」 講談社 ニューハードカバー 1996/4/22 1,500
18丸元淑生 ヘルシークッキング 春夏篇 中央公論社 中公文庫ビジュアル版 1996/7/18 800
 
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