巷の書店ではレシピが満載された本やうんちくを傾けた本などがあふれている。しかし料理というプロセスをもう一度考えてみよう。素材を調理・料理というプロセスを通すことにより完成する。工業的にいえば素材に手を加えることにより付加価値が生じるのである。したがってプロセスに目がいきがちであるが、最終製品の出来は実は原点である素材の良し悪しにかかわることを十分に認識する必要がある。料理は素材で勝負が60〜80%決まる、というのが自分の料理上の経験則であるが、これはプロの分野では当然差別化技術となっており、肉は特別に契約した農場から、野菜は有機野菜を畠ごと丸ごと買い上げる、といったことを既に実施している。これは品質を最高に保持するには当然のことであり、工業社会ではこの原料の確保が非常に重要な戦略である。料理の世界でも当然のこととなる。しかしながら日常の経費が制限された家庭においては、このようなある種のこだわりをもって原材料を確保しようとすると現実的は非常に無理が生じる。有機野菜、無農薬野菜などの宅配サービスなども最近では非常に便利にはなってはいるが、まだまだ便利とはいえないことと、その品質に関してはなかなか自分の目で確認ができにくく、業者のいうことを信じるしかないのが現状であるといってもいいすぎではないと思う。またコスト的にもまだまだ高いのが現状であり、上を見るとキリがない。したがってこの原材料へのこだわりが過ぎると家庭における経営が破綻してしまう可能性を秘めている。そこでこの分野には妥協できない材料だけこだわることとし、もう少し補助的な面にこだわることとした。こういった考え方は丸元淑生氏の著書に触れて決定的となった。つまり毎日使用し、かつ味の決め手として重要な調味料にこだわるのである。そこで丸元氏の本やその他の情報から各種調味料を取り寄せ自分の舌で味わい比較して銘柄決定するまでに約半年を要した。現在の我が家のお取り寄せマップを示す。AUPに触れる可能性があるので連絡先等は掲載しない。
さて、以下これらの調味料について触れていこう。
1.a. 自然塩---93/08/21にniftyserveの某HPにupしたものを一部訂正
塩については、法律により1971年末に塩田(いわゆる海水からとる自然塩)は完全に廃止され、国産塩についてはイオン交換膜方式を採用する7社による専売体制がしかれました。この時点から塩=イオン交換膜製塩となった訳です。塩田が廃止された理由は大きく2つあり、一つはコスト、もうひとつは海水汚染による自然塩の汚染といわれてます。(注:専売体制は1997/4月に廃止決定)。コストに関しては納得できますが、海水汚染に関しては納得できかねます。原料である海水汚染をチェックすれば、なにも塩田方式を廃止する必要もないかとおもわれます。
前置きはこれくらいにして、塩の種類をあげてみると、
1)イオン交換式塩 いわゆる食用塩 「塩化ナリトウム」と称し た方がいい 「食塩」、「並塩」、「家庭塩」 2)天日塩田塩 メキシコやオーストラリアから輸入。製法は 自然なるも塩田において精製されている。お もに工業用原料。「原塩」と「粉砕塩」 3)公社の加工塩 原塩を精製した「精製塩」と添加物を加えた 「食卓塩」と「クッキングソルト」 4)民間の加工塩 合法的なもの。いわゆる「赤穂の天塩」など。 「原塩」を原料として、地下水や海水でたい たり、ニガリを加えてたくなどする再生して 製造する塩。 5)大島の自然海塩 タワー式で海水を原料に製造。昔の塩田での 製法にもっとも近い製造方法。
スーパー等で販売されている自然塩と称するものは4)の分類に入ります。原料は外国の天日塩田の「原塩」です。塩は専売ですが、研究を目的とした研究会にていろいろな塩の製造方法を研究し、その結果できた塩を会員がわけあうことは合法となります。現在日本で海水から製造した自然塩を入手しようとおもうと上記分類の5)しか方法はありません。ここでは「海の精」(青と赤あり/結晶粒度の差)という名で会員に配布されています。分析例としては、
専売塩の食塩(NaCl:99.49%/99.24%)
海の精 (NaCl:95.63%/90.13%)
*:分析値は前がドライベース、後がウェットベース
私は、「赤穂の天塩」と「海の精」両方自分の舌で比較しましたが、後者の味をうまいと感じました。完熟トマトにこの塩をつけて食べると幸せいっぱいです。ちなみに私はこの塩を使った味噌を毎日使用してます。また梅干しもこの塩でつけたのは本当に酸っぱくかつザラザラした不自然なニガサはありません。 (注:ここでいっている梅干しはこの研究会でつけている梅干しのことをさします。)連絡先:日本食用塩研究会
「海の精」500gx6袋=5,820円
以下次号に続く