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第5章 設備技術

  5.b 冷凍ストッカー

作成:1996/09/23(Mon)、購入:1991/02

家事効率化作戦の中で省力化設備投資は重要案件(笑)であった。冷蔵庫はまだ5〜6年しかたっていなかったが、容量が不足気味であったので買い換え対象となった。また冷凍品の活用による「料理時間の貯金」を目的として、大型冷凍庫も同時に揃えることを決意した。冷蔵庫の方は設置場所のスペースから容量が自ずと限定されてしまうので、後はどのメーカーにするかは好みであり、ほとんど仕様上の差異はないといってよかった。

次に冷凍庫を検討するに当たっては各社のカタログを収集して詳細な比較検討を実施した。
業務用も一時検討したが、なにせ容量が大きく、我が家にはとても収納できないサイズの為断念した。残った家庭用機種をいろいろな角度から検討したが、結局は冷凍仕様を最重要視した為、あっけなく機種が決まってしまった。業務用を除外すると1機種しかなかったのである。東芝のCR-221BSである。

冷凍仕様を最重要視した理由を以下に述べる。

細菌類はマイナス18℃以下では活動を休止することから、食品の保存にはこの温度以下で保存するのがよい。JIS規格では「冷凍室有効内容積100リットル当たり4.5kg以上の食品を24時間以内に-18℃以下に凍結できる冷凍室をフォースター室」と定義しており最高レベルのランクで最近の冷蔵庫はほとんどがこのフォースターレベルである。しかしこの定義をひねって解釈すると、常時-18℃で保持されていてもドアの開閉により庫内の温度は当然上昇して-18℃以上の温度になることが予想される。うろ覚えではあるが結婚した当時(1978 or 79)の暮らしの手帳で、冷蔵(凍)庫の開け閉めによる庫内温度上昇実験が記事では結構な温度上昇を引き起こすことが記載されていたはずであり、今回の冷凍庫選定はそのことが念頭にあって常時保持温度が-30℃程度欲しい、ということで探索した。が、通常の冷凍庫はいずれも-20℃仕様であった。

また型式であるが、冷蔵庫のような扉式とボックス型つまりストッカー型の2種類がある。扉式は主に小容量のものに多く、ストッカーは200リットル以上の大容量が主体であった。扉式は扉を開閉する度に密度が重くなっている低温の空気が庫内から逃げてしまい、庫内温度が上昇しやすい。一方ストッカー型は開閉が上部であることから冷気が逃げにくく、かつ冷凍は底、側面の5面から冷却するので効率がよい。以上から型式はストッカー方式に決定した。後は冷凍温度をどのように考えるか、であった。

ちなみに当時は知らなかったが、"全国すし商環境衛生同業組合連合会監修、改訂版すし技術教科書(江戸前ずし編)、P310 (1988)、旭屋出版 \7210"によると「冷凍品は例え氷点下でも徐々に劣化する。特に緩慢氷結(菅原注:通常家庭用冷凍室で冷凍したもの)の場合は氷晶が大きく成長する。また長期間保蔵する大型の都市冷蔵庫ではマイナス30℃に、さしみ用冷凍マグロの保蔵にはマイナス40℃という低温が要求される」とある。

1996年9月現在 O-157の話題は鎮静化しているようだが、1〜2ヶ月前の厚生省(?)から「給食の保管を-20℃以下で保管すること」という通達が出て、通常冷凍庫のほとんどが-18℃仕様の為、各学校はきそって-20℃以下の冷凍庫を臨時購入した、という記事がのったことがあった。冷凍庫を購入した時、当然O-157やすし技術教科書記載のことは知らなかったのだが、前述のような個人的な考えから冷凍温度は余裕をもって-30℃という指標をもった訳である。

業務で設備導入する時と同様にいろいろな角度から比較検討はしたが、結果的にはコストパフォーマンスのもっとも劣る現在の冷凍ストッカーを選定した。仕様にこだわったからである。これが通常企業であれば、何故冷凍温度仕様にそこまでこだわるのか? 通常冷凍庫であれば、価格は半分ではないか? という声が嵐のように浴びせられ、その中で冷凍温度にこだわった選択を強行することはまず無理であろう。

その点個人で揃える設備は己の価値観に沿えばいいので簡単である。小さな企業の場合もそれに近いのであろう。いちいちあらゆる損得計算してムダな時間を浪費することもなく即決で動いてゆくことができ、それが企業の活性化と関連しているのだと思う。っと脱線..(^^;)。

前後して丸元氏の本からエレクトロラックスの存在を知ることになるのだが、冷蔵庫は既に買い揃えた後であり、冷凍庫は検討中であった。しかし冷凍庫に関してだけはその機能をさらに特化して追求した私の選択がリーゾナブルであったと考えている。
残念ながら現在の活用度はかなり低くなり、以前のようにスープストックなど各種冷凍品を大量に保存しておくことが少なくなった。自前での冷凍化は基本的に味が落ちることは間違いなく、材料が新鮮な内に使いきるのが最良であるからである。しかし夏場簡易水筒の麦茶をキンキンに冷やすにはもってこいの装置ではある。

現在この-40℃仕様の冷凍ストッカーは故障もなく順調に稼働している。私のお気に入りのアイテムである。

冷凍ストッカー導入時に合わせて真空パック技術も検討した。後にエージレスというアイテムを丸元氏の本から知ったが、真空パックに関しては独自に動いて選定した。これに関しても別途述べる予定だ。

型式名CR-221BS
有効内容積リットル220
庫内温度-20〜-40
寸法(mm) 外形内形
高さ883611
890765
奥行640475
製品重量kg50
電動機 W115/130
電熱機 W16/16
消費電力kWH/hr 36/39
定価268,000

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Contents copyright 1996 Mitsuo Sugawara