丸元さんに感化された90年末、「あると便利な道具(丸元淑生、"新・家庭料理"、暮らしの設計 No.170 p.23 (1986))」にチラリとあった水切り器が欲しくて欲しくてたまらなかった。それまでは家内が購入していた直径20cmたらずのハンドルでまわすタイプを使用していたが、思うように水切りができず、ボールとステンレスザルをドーム型に上下合わせ、その中に野菜を入れ、ベランダで思いきり振り回して、水切りした方がよかった位だ。しかしこれは面倒だし、場合によってはビショビショになる。
もうひとつは木綿の袋に野菜を詰めて、この袋をやはりぐるぐるまわすという方法もあった。いずれもまあまあ水切りできるのだが、忙しい時にはちょっと面倒なので、サラダなど作りたくなくなってしまうことも間々あったものだ。
丸元さんの水切り紹介記事数行と写真を見てから、どうしても欲しくなり探したのだが、当時私の住んでいる北九州では、Zyliss社のキッチングッズを販売している店が探しだせず、福岡まで出向いてようやく購入できた。正確な値段は忘れたがたかが水切り器にしては結構高かった覚えがある。しかし高いだけのことはある。気持ちよく水切りができる。レタスなどいとも簡単に水切りができる。
こういった単純な作業がキッチリできないと料理自体が嫌になってしまうこともある。工夫だけでは解決しない問題もある。水切りもそのひとつだと私は思う。
1996年5月下旬に丸元淑生さんの「"キッチンバイブル",講談社 (1996)」を購入した。この本は彼の台所用品に対するうんちくが書かれていて、この手の本が彼から今まで出されていないのが不思議な気さえする内容だ。しかしこの中の水切り器の項には、Zylissが一切触れられておらず、代わりにイタリー製(Aerplast社)の水切り器が紹介されていた。ちょっと寂しい。
私は、Zyliss社水切り器のデザイン、色、質感などどれをとっても素晴らしく六年たった今でも愛用している。